セントラル便り

尿管結石の治療と予防
泌尿器科 佐藤 健

 尿管結石は七転八倒の苦しみで起き上がれないほど痛く、脂汗を流して苦しむといわれています。第一回目の痛みの発作は突然襲うことが多いようです。突然襲う激痛であわてて救急車を呼び、病院に担ぎ込まれることになります。しかし、病院に着いた頃には痛みがなくなっていることもあります。そして、結石の痛みは万人に起こるのではなく、同じ人に何度も起こるのです。
 尿路結石の痛みは、結石が腎盂や尿路から動いて尿の流れが阻止される時に起きます。この痛みの原因は、腎盂内圧の急激な上昇によるものと考えられています。この急激な腎盂内圧の上昇には尿管の蠕動運動が関与していると考えられています。尿管の蠕動、収縮運動中の圧力は20〜50cm水柱圧、あるいは時には80cm水柱圧にも上昇します。このように高い圧力が、通常0〜5cm水柱圧しか圧力がかかっていない腎盂や腎杯に加われば、激しい痛みを感じることになります。しかし、ある程度内圧が上昇すると、尿の生成が止まり、内圧の変化は無くなり、腎盂、腎杯、尿管が拡張した状態で平衡状態になります。こうなると鈍痛はあっても激しい痛みには襲われません。これが問題で、患者さんによっては、痛みがなくなったのでそのまま放置してしまう人がいます。すると、何カ月かあるいは何年か経つうちに、腎臓が拡張し、尿を生成する腎実質が薄くなってしまいます。ですから、尿路結石といわれたら、医師に結石が無くなったといわれるまで放置しないように注意することが大切です。

  尿路結石の治療は1980年前後から大きく変化しました。それまでのメスによる治療をほとんど必要としなくなるほどの大きな変化でした。一つは内視鏡を用いた砕石術、もう一つは体外衝撃波を用いた結石破砕術です。内視鏡を用いた砕石術には、PNL(経皮的腎砕石術)とTUL(経尿道的尿管砕石術)の二つがあります。PNLは皮膚と腎臓に直径1cm程度の穴を開けて、内視鏡のレンズ越しに砕石する方法です。この方法は、一時盛んに行われましたが、後に述べるESWLの方が患者さんの身体的負担が少なく、技術的にも容易なため、現在ではESWLで砕石不可能な特殊な結石に対してのみ施行されます。TULは、尿道から逆行性に内視鏡を尿管まで挿入して、レンズ越に砕石する方法で、当院では、前述したPNLと同様に、スイス製のリトラクストという振動させた空気をエネルギーに変換する装置を使用して砕石術を行っています。TULは主として骨盤内の尿管結石に対して用いられます。
 ESWL(体外衝撃波結石破砕術)はドイツのドルニエ社が最初に研究開発を進めた技術です。水中で電極放電すると電極周囲に衝撃波が生じることがわかり、衝撃波を体外から人体に照射すれば、人体中の結石が破壊しうるのではないかと考え、8年余の年月と15億円の開発費を投じ、実用化までもっていった技術です。衝撃波が骨にあたっても、骨が破壊されることはありませんし、腸にあたっても障害はおきません。当院にもドルニエ社の結石破砕装置が導入されており、ほとんどの腎結石と骨盤より上の尿管結石はESWLによる治療によって非常に良好な治療成績が得られています。ESWLを受けた患者さんにとって大切なことは、水分を多く取って尿量を多くする、適度な運動をする、時々逆立ちをする、などです。
 結石の予防について、普段の生活の中で実行可能なことを挙げてみましょう。
  1. 食塩を過剰に摂取しない
  2. 動物性蛋白質を過剰に摂取しない
  3. ビタミンCを過剰に摂取しない
  4. 就寝直前に食事をしない
  5. 一日の尿量が2リットル程度になるように水分をとる
などのことが実行できればかなり結石形成の予防につながると思います。食塩を多量に摂取すると、腎尿細管で再吸収されるナトリウム量が低下し、同時に再吸収されるカルシウム量も低下し、尿中のカルシウム量が増加することになります。この状態が長く続くと、低カルシウム血症のために副甲状腺ホルモンの分泌量が増え、骨からのカルシウム溶出も増加し、骨が弱くなりやすくなります。肉類をとれば、一時的に腎係球体の濾過量が増大し、そのために濾過されるカルシウム量が増加し、尿中のカルシウムが増加します。また、動物性たんぱく質を多くとれば、尿中の尿酸とシュウ酸の排出量も増加するので、結石の発生する危険性が高まります。ビタミンCは体内で代謝されてシュウ酸を作るので、結石成分のほとんどを占めるシュウ酸カルシウムの部品を作ることになってしまいます。また、食事で摂取したカルシウムやシュウ酸の尿中への排出は、食後2〜3時間でピークに達します。腎臓の働きが正常な人では、就寝中の尿量は減少して濃縮された尿ができます。夜遅く食事をとると、尿中へのカルシウムおよびシュウ酸の排出と濃縮される尿が生成される時間帯が重なり結石ができやすくなります。砂漠地帯に他所から移住した人には、約10倍の頻度で腎臓結石ができることが報告されています。
 心臓が悪い人、緑内障の人、腎臓が悪い人などは、あまり水を飲みすぎると体に良くありませんが、一日の尿量が2リットル程度になるように水分をとるように努めることも、結石再発の予防になります。ただし、紅茶にはシュウ酸が多く含まれていますから、シュウ酸カルシウムの尿路結石を再発しやすい人は避けた方がいいでしょう。また、ほうれん草にはシュウ酸が多量に含まれていますが、おひたしにすれば、水の中にあくとしてシュウ酸が出ていくので問題はありません。
⇒ 泌尿器科へ
医療法人つくばセントラル病院
〒300-1211 茨城県牛久市柏田町1589-3
電話 : 029-872-1771
FAX : 029-874-4763
E-Mail:info@central.or.jp