リンパ浮腫外来




このたび、平成26年3月末日をもちましてリンパ浮腫外来を閉科し、診察を終了することといたしました。 当科をご受診されている患者の皆様には、急遽のお知らせとなり多大なご迷惑をおかけいたしますことを深くお詫び申し上げます。誠にご不便をおかけいたしますが、何卒ご理解の程をよろしくお願い申し上げます。


リンパ浮腫でお困りの皆さんへ
 

右寄せの画像

 大変お待たせしました!!乳がん、子宮がん、卵巣がん、前立腺がんなどの治療後に、
腕や脚が腫れて太くなってしまい、困っている方の治療を行うリンパ浮腫外来がいよいよ開設されました。リンパ浮腫は進行しないうちにケアするのが大変重要です。当院では美容目的の
リンパドレナージュではなく、医療行為として、資格をもったセラピストによる治療を行います。もちろん、当院で手術された方でなくても大丈夫です。
「手術のあと、どうも腕がぽってりしてきたような気がする」 「リンパ浮腫だと言われたけれど、特に治療を受けていない・・・このままで大丈夫?」 「もうずっと前から腫れたままなので、もう治らないだろうからいいや」 などとお悩みの皆さん、ぜひ受診されてください!!!



リンパ浮腫って?

 「リンパ浮腫」とは、リンパの流れが滞り、組織間隙にタンパク質や水分が過剰に滞留した状態をいいます。
先天性のものを含めた原因不明の一次性と、明らかな原因のある二次性に分けられますが、
リンパ浮腫の9割以上が二次性のリンパ浮腫です。一次性は生まれつきリンパ管、リンパ節ともに
発育が悪いなどの理由で起こるのもの、まったく原因が不明のもので、二次性は乳がん・子宮がん
・卵巣がん・前立腺がん・喉頭がん等の手術療法や放射線療法の後にリンパ節が切除または
破壊されたために起こることが多いです。慢性静脈不全症候群の方も対象になります。


一次性リンパ浮腫


 

先天性リンパ浮腫:生まれつき、または生後2年以内に発症。リンパ管に異常があるもの。
早発性リンパ浮腫:35歳以前に発症。女性に多い。
遅発性リンパ浮腫:35歳以降に発症。二次性の影響も否定しきれない。
特殊な形のリンパ浮腫

  1. ミルロイ病(Milroy disease):家族性遺伝性に発症する先天性リンパ浮腫。下肢に浮腫が起こる。
  2. メージュ病(Meige disease):家族性遺伝性に発症する早発性リンパ浮腫。
  3. クリッペル・トレノニー・ウェーバー症候群(Klippel-Trenaunay-Weber症候群):生まれつき四肢の広い範囲にできる血管腫があり、その側の四肢の肥大や長さの延長がみられるもの。

ターナー症候群、クラインフェルター症候群、ダウン症候群、ヌーナン症候群、黄色爪症候群、重複睫毛症などとともに
リンパ浮腫が見られることがある。


二次性リンパ浮腫


 
リンパ管の炎症、腫瘍の浸潤、手術によるリンパ節の切除などのため、リンパ管が閉塞してむくみが生じるもの。

  1. リンパ節の外科的切除:ほとんどのリンパ浮腫の方がこのケースに該当する。リンパ浮腫が起こるかどうか、
    また浮腫の程度は、手術を受けた病気の進行程度や術式、放射線治療を行ったかどうかによって異なり、
    また、全く同じ治療を受けても、肥満があるかどうか、糖尿病などの基礎疾患があるかどうか、術後すぐに
    患側の上肢や下肢に負担をかけなかったかどうかなどにより、個人個人で大きく違う。
  2. リンパ管炎:外傷などで体内に侵入した細菌がリンパ管に取り込まれ、そこで炎症を起こしたもの。
    皮膚表面にリンパ管に沿った赤い線状の発赤として認められる。
  3. 寄生虫感染:フィラリア症にみられ、リンパ腫の原因としては有名だが、大変まれ。
    「エレファントマン」という映画に出てくるのが、この病気の方です。
  4. 深部静脈血栓症に伴うリンパ浮腫:静脈血栓によって血管がつまり、静脈還流が悪くなると、
    同時にリンパ浮腫を伴うことが多く、脚が薄赤青紫色になって腫れる。
  5. 悪性腫瘍のリンパ管およびリンパ節への転移

どんな症状があるの?

 組織間隙のリンパ流が滞るため、手(腕)や足(脚)が腫れて太くなり、重圧感、深部痛、だるさ、疲れやすさ等を感じます。
その他、皮膚が突っ張るような痛み、ピリピリとした皮膚の違和感などを感じることもあります。多くの場合、
皮膚の色の変化や強い痛みはありません。さらに免疫力が低下するため、過度の身体疲労や皮膚の創傷等により、
赤い斑点、痛み、発熱を伴う蜂窩織炎を合併し易くなります。また小さな水疱ができたり、潰瘍を作ったり、
皮膚が乾燥して硬くなったり、いぼがたくさんできたりといったような合併症も起こしてきます。
ごくまれにリンパ浮腫からリンパ管肉腫という悪性腫瘍が発生したりもします。しかし、ふつうは放っておいても
別に命にかかわることもないため、医者自身も軽く見がちです。そのため、相談に行っても詳しい説明が聞けずに
「ああ、ちょっとむくんでいるね」といって終わってしまうことも多いようです。

 むくみは手術や放射線治療の後に、すぐに生じる場合もあれば、5年や10年経過してから発症する場合もあります。
症状はゆっくりと進行しますが、長期にわたり適切な治療を受けない状態で放置したり、頻繁に炎症を繰り返すと、
結合組織が増殖し、患部が腫れて象の皮膚のように硬くなる象皮病にまで進む場合もあります。
このため、むくみを感じたらできるだけ早期のうちに専門医や主治医より適切な診断を受け、治療を始めることが大切です。

国際リンパ学会によるリンパ浮腫の重症度分類
Stage 0
(潜在性)
リンパ循環不全はあるが、臨床的に症状のないもの
StageT
(可逆性)
タンパク濃度の比較的高い(静脈などに比較して)浮腫液の早期の貯留で、
患肢挙上で改善する圧窩性(押すとへこむ)浮腫。
StageU
(非可逆性)
患肢挙上のみでは腫脹が改善しない、皮膚の硬い非圧窩性の浮腫。
StageV
(象皮病)
象皮病で非圧窩性。皮膚の肥厚、脂肪の沈着、疣贅(いぼ)の増殖などの
皮膚変化を認める。


どんな検査をするの?

 過去に手術や放射線治療を受けたことのある方で、治療を行った側のむくみのある場合には、
超音波検査で皮下組織の肥厚や浮腫液の貯留を確認することでリンパ浮腫の診断が可能です。
 むくみの原因がはっきりしていない場合は、CT検査やMRI検査、アイソトープを用いたリンパ管造影を行います。



どんな治療をするの?

 リンパ浮腫の治療は、複合的理学療法といわれ、以下の4つの治療を組み合わせたものです。
滞ったリンパ液の流れを活発にしてあげることが重要です。
1. リンパドレナージ
2. 圧迫療法
3. 圧迫下における運動療法
4. スキンケア
 基本的にはやさしく刺激してリンパ液を流してあげることで突っ張った皮膚を緩め、硬くなった皮膚を柔らかくします。
この状態で弾性包帯を巻いたり(これが基本です)、スリーブといわれるサポーターのようなものや、
弾性ストッキングを着用していただくことで、リンパの流れの良い状態を保ち、さらにむくみを引かせて
腕や脚の細くなった状態を保つことができます。そして、圧迫した状態でむくんだ腕や脚を挙上する、
動かすことでさらにむくみを引かせることができます。「細くして、維持する」、これが基本です!

  1. リンパドレナージとは、皮膚表面の浮腫液を順次深部のリンパ系に流していくものです。
    マッサージの一種ですが、とてもゆっくりとした優しい圧で行います。非常に軽いタッチで、リンパ循環を促し、
    滞ったリンパの流れをもとに戻すようにします。
  2. 圧迫療法は、リンパドレナージ後、基本的には弾性包帯を巻いて圧迫を行います(バンデージといいます)。
    圧迫をすることでよりむくみを引かせることができます。スリーブ、ストッキングを使用することもあります。
  3. そして、圧迫下での運動療法。これは、弾性包帯や弾性着衣で圧迫をした状態で運動をすることで、
    さらにむくみを引かせます。運動といっても、普段何気なく動かすような動作です。
    すごく汗をかくような運動ではないので、安心してください。
  4. スキンケアは、けが・傷・虫刺され、ペットによるかき傷、水虫、巻き爪等に注意して、蜂窩織炎などの
    合併症を予防することです。弱い皮膚を保護するために低刺激のクリームやローションなどで保湿し、
    乾燥を防ぎます。また、入浴時にはタオルやスポンジなどでゴシゴシこすらないようにします。

 ご自宅でのセルフケアは大変重要です。ご自宅でもできるだけバンデージを行ったり、
正しくスリーブを装着していただくことで、かなり太く、硬くなってしまった腕や脚もある程度すっきりとした
状態を保つことができます。また、スキンケアは自己管理が大切ですが、右寄せの画像
ご自分ですぐにできること。さっそくケアをはじめましょう!

具体的には・・・

  1. 虫刺されなど外傷を避けるように、長袖のシャツやパンツを着用するようにしましょう。
  2. ガーデニングなどの際には必ず手袋や軍手をするようにしましょう。
  3. 爪周囲の清潔に心がけましょう。
  4. 水虫があれば治療しましょう。
  5. 保湿クリームなどを使用して肌を保護し、乾燥から守りましょう。
  6. 体力が低下すると免疫力も低下します。疲れすぎないように気をつけましょう。
  7. 糖尿病のある方、ステロイド剤(免疫抑制剤)を内服している方は特に注意してください。
  8. むくんだところに熱感がある、赤みを帯びている、いつもより張った感じが強い、小さな水疱ができている、
    などの異常があるときはすぐに病院を受診してください。

セルフケアとして、体重のコントロールも重要です。肥満はリンパ浮腫の大敵です。
脂肪が邪魔をしてリンパ液が流れにくくなります。


 これらの治療のうち、リンパドレナージと圧迫の部分が浮腫の軽減に重要ですが、自分で行うのはなかなか困難です。
ぜひリンパ浮腫外来を受診なさってください。セラピストによるリンパドレナージは大変気持ちのよいものです。
ぜひお試しください。びっくりするほどむくみが軽くなります!しかしそのままではまたすぐにむくんできてしまうので、
ご自宅でのケアが必要です。このケアの方法についてもまた、適切なセルフケアのためのバンデージの方法や、
スリーブや弾性ストッキングなどの着用方法の指導なども行います。


リンパ浮腫の治療も保健診療なの?
 
 残念ながら、現在のところ保険が適用されているのはスリーブやストッキングなどの弾性着衣と弾性包帯のみです。
リンパドレナージ(マッサージ)も含め、リンパ浮腫外来は保険診療ではなく、自由診療となります。
気になる金額は、こちらをごらんください。 リンパ浮腫外来 ご料金


セラピストからのご挨拶
右寄せの画像

 はじめまして!リンパ浮腫の外来において治療を担当しています藤堂と申します。
リンパ浮腫は、手術後から発症する方もいれば、手術後何年も経ってからほんの些細なことを
きっかけに 発症する方もおり、一度発症すると治ることがなく、ずっと付き合っていく必要が
あります。 しかし、良い状態を維持できれば、例外もありますが今まで通りの
生活をすることができます。 リンパ浮腫でお困りのかた、リンパ浮腫に
なってしまったかも…など、どんなことでもかまいません。
まずは、ご相談にいらっしゃってください。
リンパ浮腫は、お一人おひとり違います。お一人おひとりに合わせた治療と
ご自宅でのケアの方法を 提案させていただければと思います。
あなたの快適な日々を取り戻すお手伝いをさせてください!!お待ちしております。





 リンパ浮腫外来は完全予約制です。初診の方は、水曜日と土曜日の文医師の外科外来をまず受診されてください。
こちらの外来でリンパ浮腫の状態を拝見して、ご予約を入れさせていただきます。
他の病院で手術を受けたり、他の施設でリンパ浮腫の治療を受けていらっしゃる方は、主治医の先生などに
ご相談いただき、紹介状を持ってきていただくとありがたいです。無理でしたら紹介状はなくともかまいません。
(こちらで手術を受けた病院に、必要事項のお問い合わせをいたします。)
また、弾性包帯、弾性スリーブ、弾性ストッキングなどをお持ちの方は、必ずご持参下さい。


ご予約電話番号:029-874-7928