医療法人つくばセントラル病院|診療科のお知らせ
循環器内科
ワーファリンと出血について
診療科のお知らせ

ワーファリンと出血について


循環器内科 田中 千博(かずひろ)

今回ワーファリンを内服している高齢者が増えていますので、代表的な副作用である出血についてお話します。
ワーファリンを投薬されている患者は、外来受診するたびに採血検査を受けます。PT(プロトロンビン時間:凝固系の検査:出血のし易さ)を計測することでワーファリンの投薬mg数を決めるからです。意外と食物の影響を受けてしまうため、PTは延びたり縮んだり、毎回変動が著しいのが特徴です。PT‐INRという数値はコントロールと比較した値ですが、この値が日本人の場合1.5〜2.5倍に延びるようにコントロールします。欧米人は2.0〜3.0ですから日本人の方が少なくても良いようです。この差は実はDダイマーという物質がどのくらいで抑制できるか調べたところ、日本人はPT‐INRが1.5から、欧米人では2.0からでした。Dダイマーは血栓の出来やすさと理解して頂ければよいと思います。大きくなるほど血栓が出来やすくなり、病名でいえばエコノミー症候群というところでしょうか。ただエコノミー症候群は静脈血栓であるのに対し、脳梗塞(この場合はあくまでも心房細動に関してのお話です)は動脈血栓であることが大きく違います。季節柄野菜の摂取量が異なるとPT‐INRは上下を示してしまいます。
さてワーファリンの大きな副作用に出血があります。高齢者に投与するのに何かと悩まされるのもこの問題です。さらに手術をする場合は原則的に中止しています。さて出血と言っても一番多いのは皮下出血です。皮膚が急に黒ずんできて大きな瘢痕を示してしまうことが多いのですが、困ったことにINRが延びていなくても人によってはぶつけてしまっただけで簡単に生じます。あまりにも多い場合はやむを得ず内服量を少なくしますが、たまに生じる場合にはそのまま経過観察のみにしています。INRが5を超えると胃から血がにじみ出てくるようになります。便の色が出血のため黒ずんできたり、血を吐いたりします。このような状態では入院して頂いて胃カメラを行います。ワーファリンは暫く中止しますが、INRはたいてい1〜2週間位で正常化されます。従って、飲み忘れ、飲んだのを忘れて再度内服などしたらコントロールはめちゃくちゃとなってしまいますよね。そこで自分で管理できない患者様に対しては、あえて少ない容量でINRも限りなく正常値に近い値でコントロールすることになります。ワーファリンの増減は主治医の腕の見せ所になります。



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