循環器内科 田中 千博(かずひろ)
皆さんの高血圧のほとんどが本態性高血圧といって,生まれ持った素因によるものです。遺伝子学的には一つの因子でなく複合的なものなので,いまだ解明されてはいません。ただ,疫学的調査から,血圧を下げれば脳梗塞・脳出血・心筋梗塞・大動脈瘤などの血管の病気の発症を遅らせることが出来ます。完全予防ということは出来ません。ではどのくらい遅らせることが出来るのか,これも個々の遺伝的要素により不明なのですが,少なくとも10年以上であることは確からしいです。
血圧を下げるためには何が一番良いのかといいますと,やはり食事と運動です。まるで糖尿病と同じではありませんか。塩分を減らし,運動で汗を流せばそれだけで血圧は20位下がるでしょう。かつ突発的な血圧上昇も頻度が減ります。人間は不安になると動悸・息切れを感じるようになりますが,運動することで症状は減少し,気分転換,悪く言えば問題を先送りすることも出来るようになります。運動系の方はくよくよ悩まないと昔からよく言われているのも気分転換が早いと考えてあげれば納得できるはずです。ただし勉強はしていないとだめですよ。
それでもだめなら降圧剤が始まります。最初は弱い薬から入ります。急な高圧は脳梗塞など血管が詰まりやすくなるからです。ゆっくりと半年以上かけてが基本です。一錠でだめなら二錠と増やされますが,不思議なことにピークまでいくとその後減量になる人がほとんどです。むろん食事・運動療法を続けている人ほどその確立は高くなります。中には内服がいらなくなる人も出てくるぐらいです。
運動量はどのくらいが良いかといいますと,最低でも週に2回,一回一時間以上が原則です。毎日なら30分でも良いのですが,汗をかくことが大事なのです。汗をかくようになるには運動を始めて最低1年以上必要です。さらっとした汗をかくようになるまで頑張りましょう。運動は自分を苛めるストイックなものなのですから。私でも運動を始める前は気分が悪くなることも多いのですが,いざ運動をやってみると爽やかになります。自分を欺し欺しやるしかないのです。膝が悪い方,高齢者では走ることは無理なので,プールで泳ぐか歩きましょう。きっと仲間が出来ますよ。
次回は薬の大まかなお話しをします。
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