麻酔科

麻酔科医の役割

  • 1. 患者さまの生命を守ること
  • 2. 患者さまの肉体的かつ精神的苦痛を取り除くこと
  • 3. 手術がスムーズに進行するような条件を整えること

この三つが麻酔科医の大きな役割です。

一般的に麻酔というと、「眠っている間に手術が終わる」と考えている方が多いですが、その「眠っているうちに手術が終わる」ために、上記の三要素を満たして、何事もなかったかのように元通りにするのがわれわれ麻酔科医の仕事なのです。

たとえば、痛みを除くことをせずに患者さまが眠っているだけの場合、ひとたびメスが入れば、痛み刺激により体は反応し、血圧が上がって出血量が多くなったり、高血圧や心臓に問題のある患者さまでは心筋梗塞・狭心症・脳内出血などを発生させたりしてしまうかもしれません。痛みや心理的不安・恐怖等のために安静が保たれなければ、外科医も手術どころではなくなってしまいます。

一方で、麻酔がかかった患者様は痛み刺激に反応しないほどの無防備状態になります。どんな危険が迫ろうとご自分では対処できません。麻酔中は、血圧や脈拍などの心臓や血液の流れを整える循環管理、体の中に十分な酸素を送り込むための環境を整え呼吸管理をして、平常の状態を維持するようにし、長時間の同一姿勢による術後の神経障害や関節痛が起きないように患者様に代わって察知し回避することもおこなっています。このように麻酔科医は手術中のすべての危険回避を一手にお引き受けしています。

一般の皆様 - 麻酔科医の役割|公益社団法人 日本麻酔科学会 (anesth.or.jp)