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 めまい・目眩・眩暈について
【1】“めまい”って何?
いわゆる“めまい”を感じて受診する患者さんの訴えを聞いていると、めまいの中身には種々雑多な状態が混じっていることに気がつきます。日本語のめまいには一定の定義がないのですね。訴えの中で多いのは、“目の前がぐるぐる回った”“横に景色が流れた”“後ろに吸い込まれそうになった”“地震かと思った”“くらくらする”“綿の上を歩いているようだ”“急に立ったときぐらっとする”“立ち上がったら目の前が暗くなった”“眼がぼやけた”“物が二つに見える”“頭がボーッとする”などを“めまい”として表現することが多いようです。
【2】なぜこのようなことが起こるのでしょうか?
−空間認知のしくみ−
私達はどうして目をつぶっていても立っていられるのでしょうか。また体操の選手のようにクルクル空中で回転しても転ばずに着地できるのでしょうか。それは脳が3つの情報を旨く組み合わせて判断しているからなのです。最も重要なのは耳からっ入る情報です。耳の穴の底には鼓膜がありますが、その奥に中耳、更に内耳があります。内耳には音や声を聞く蝸牛(かぎゅう)と加速度(動き)や重力を感じる前庭(ぜんてい)からなっています。前庭には動きを感知する3つの半器官があり互いに直交する面すなわち三次元空間を認識しています。
2番目は首・四肢の関節、筋肉からの情報(固有感覚、手足の曲がり具合、、伸び具合を認知)や皮膚からの情報です。
3番目は目から入る直接的な視覚情報です。びっくりハウスで景色を斜めにされると倒れてしまいますね。これら3つの情報が小脳を中心にした中枢神経系で統合され三次元空間における自分の位置を認識します。この情報の何れかに異常が生じ自分の空間における位置の認知に手間取ると現実の体の位置と認識上の躰の位置の間にズレが生じます。この現実との不一致がめまいとして表現されるのです。ではどんなときにこのようなことが起こるのでしょうか。
【3】めまいの分類と病気
めまいに関する色々な訴えを医学的に分類してみるとおよそ次のようになりそうです。
  1. 真性めまい
    周囲の景色が右や左の渦巻き状に回転したり、水平方向に流れたり、体が縦に回転して後ろに吸い込まれそうになったり、体がぐらついたりといった症状で、体を動かしたり一定の姿勢をとったりすると出現することが多いようです。前庭系特に抹消前庭(中耳・内耳)の傷害、つまり 中・内耳炎、外傷、虚血、脳腫瘍、髄膜炎、耳管閉塞、乗り物酔い、酒酔いなどで起こります。
  2. 不安定感(ふわふわ感)
    最も多い訴えの一つです。 末梢・中枢前庭障害の軽症型あるいは回復期、ワレンバーグ症候群(脳梗塞)、 脳幹部腫瘍、頸椎捻挫などで多くの原因で起こります。
  3. 歩行障害
    パーキンソン病・症候群、頸椎症、頭頸部移行部奇形、 キアリ奇形、脳腫瘍、脊髄小脳変性症などで歩行が不安定になってめまいと表現されることも少なくありません。
  4. 立ちくらみ
    起立性低血圧、眼前暗黒 失神、などはこれと同様なものですが、変わった原因として首を極度に後ろに曲げたときに起こる美容院症候群もあります。たまに眼球を動かす神経すなわち動眼神経麻痺、外転神経麻痺なそに起因する複視をめまいと表現されることもあります。
  5. その他
    神経症【ノイローゼ】で頭がボーッとしたり、側頭葉・自律神経に焦点をもつてんかん発作でも同様の症状がでることがあります。
以上のように色々な原因がありますが、一般的には年輩者に多く、加令現象のの一つとして理解されることが多いようです。
【4】検査
当院では詳細な病状の聴取、診察の上、重心計・脳波・聴性脳幹反応・MRI/CTなどを適宜組み合わせて行っております。これらは全て安全な検査です。
【5】治療
治療は原因疾患を見極め、最適な治療法を選択しますが、特に明らかな原因が認められないときは保存的療法【安静】が主体となります。症状が強いときは点滴治療も有効です。
【6】予後
原因疾患にもよりますが一般的には良好なものです。しかし少ないですが悪性の病気が隠れていることもあり専門医の診察は欠かせないものと思います。

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