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 脊髄損傷のリハビリテーション

脊髄損傷は,脊椎の屈曲・伸展・回旋・圧迫で(骨折脱臼椎間板損傷の有無に関係なく)脊髄に挫滅が生じたことによる障害です.脊髄は,脳と繋がっている中枢神経で,脊髄損傷のレベルにより,上肢から末梢が動かなくなったり,下肢だけが障害されたりといろいろです.しかし,ただでさえ尿路感染・褥瘡感染・呼吸器感染症・呼吸不全で死亡することがあるためうまく治療やリハビリテーションをする必要があります.
障害は,運動麻痺・表在深部感覚脱失・反射消失亢進/呼吸機能障害(頚髄損傷)・排尿障害(神経因性膀胱)・排便障害・自律神経障害(起立性低血圧/自律神経過反射)・性機能障害がおもな症状です.
病型の分類(評価)はASIA(感覚運動評価・感覚スコア・運動スコア・ASIA imparment scale)で行い,すこし専門的になりますが,完全損傷・不全損傷(中心性脊髄損傷/Brown Sequard症候群/Anterior cord症候群/精髄円錐症候群/馬尾症候群)という分類もあります.
損傷後の機能障害の回復は完全損傷は回復の程度は僅かで不全損傷は程度が大きく,しかし,顕著に回復するのは受傷後1年です.
じっさいの訴えは,手が動かない・脚が動かない・指がうまく使えない・尿がうまくでない・尿がもれる・便秘になる・手足の感覚がない→歩けない・立てないなどです.
これらによる合併症は,呼吸器(呼吸筋麻痺による障害―横隔膜・肋間筋/排痰障害―無気肺・肺炎)消化器(麻痺性イレウス/上腸間膜動脈症候群/消化性潰瘍)泌尿器(神経因性膀胱/膀胱炎―尿路感染症)褥瘡(骨突出部)痙縮拘縮 浮腫 痛み 骨萎縮 異所性骨化 (脊髄空洞症)があります.
受傷直後は,呼吸管理/患部安静/排尿管理(間欠導尿)褥瘡予防 浮腫予防(患肢挙上)心理的ケア{障害を受け入れられない} そして,リハビリテーション(拘縮防止/機能的肢位保持スプリント)をおこないます.リハビリテーションはベッドサイドです.
時間がたつにつれて,起立性低血圧の管理/障害を受容させていく/リハビリテーション(可動域拡大/残存筋力増大/肺理学療法/手指の巧緻性訓練/ADL・IADL訓練/排尿訓練(たたく・腹圧をりようした排尿/間欠自己導尿)排便管理(食事飲水の習慣をつける)装具を装着しての歩行や手指の訓練を行っていきます.
重要な合併症を説明しておきます:
自律神経過反射―高位損傷に多い.交感神経系の異常反射.発作性高血圧→徐脈→頭痛・発汗・顔面紅潮.これらは膀胱充満/直腸内便充満→麻痺域の欠陥収縮が原因.放置すると脳出血を起こす危険がある.尿充満・便充満がおきたら直ちに排尿排便させる.家族のかたにも説明が重要.
上腸間膜動脈症候群―仰臥位が長期・体重の著名な減少で上腸間膜動脈が腸と腰椎の間に挟まれて圧迫され,その結果麻痺性イレウスになり,嘔吐などの症状が発現する.→側臥位・腹臥位をとる.上腸間膜動脈が下がらないように骨盤ベルトを装着.これは,受傷直後にみられます.
機能を向上させるためには,リハビリテーションを行い,装具装着が必要なことがありますが,究極の選択として,手指・上肢・下肢機能再建手術をおこなうことがあります.

急性期は障害を認識できない状態なので,少しずつ認識できるように,たとえばできない医療スタッフや家族の方が日常生活動作(ADL)のサポートをして認識できるようにします.認識後は,障害を受容できるように,不安解消・家族の方やスタッフへの信頼を築く(治療と看護の内容を丁寧に説明《時には家族の方と一緒に》・ADL(IADL日常生活関連動作)のサポートを行います.その後は ADL・IADLのできるだけのアップを目指して自律できると評価・判断されたことは見守りなどで初めからは手伝うことは行いません.家族の方・医療スタッフ全体で患者さんとの良好な関係の維持をしていくことが一番重要になります.

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