−飲酒や喫煙などが外的要因−
2001年の食道がんによる死者は約1万1000人で、がん死の多い方から数えて9番目です。そのうち、男性は9000人(多いほうから5番目)で、女性は2000人です。圧倒的に男性に多いのが特徴です。医学は進歩しつつあるとはいえ、食道がんは難治性のがんといえます。
<発生原因>
環境因子が重要です。飲酒と喫煙との関連が強く、アルコールを飲まず、たばこも吸わない人が食道がんになることはまれです。日本人を対象にした研究では、たばこを吸わない男性に比べ、毎日吸う男性の食道がんの死亡リスクは約2.2倍、全くアルコールを飲まない男性に比べ、毎日飲む男性のリスクは約2.3倍でした。喫煙量や飲酒量が増えるとリスクは徐々に増大する傾向があり、飲酒と喫煙の両方が重なるとさらにリスクが高くなります。また熱いお茶などを長年とる習慣も食道粘膜を傷つけることになり、がん化を促進させます。一方、野菜・果物をたくさん取ることは予防効果になります。
発生原因
<症  状>
健康診断や人間ドックの内視鏡検査などで発見される無症状の食道がんは早期のがんであることが多いといえます。がんが大きくなると食べ物がつかえたり、通過が悪くなります。ゆっくりとだんだんひどくなっていくのが特徴です。症状が進むと飲み物がしみたり、むせるような咳が出たり、血の混じった痰(たん)が出たり、声がかすれることもあります。また食事量が減り体重が減少します。
<検  査>
バリウムを飲みます(食道X線検査)。および食道のカメラ(内視鏡検査)が有効です。直接見たり、写真を撮ったり、組織の一部を採ってがん細胞の検査をします。がんの広がり具合を見るためにCT、MRI検査も重要です。
検査
<治 療 法>
全体での5年生存率は15〜30%です。食道がんの治療には大きく分けて4つ、それは内視鏡的治療、手術、放射線療法、化学(抗がん剤)療法です。ある程度、進行したがんでは手術、放射線治療、化学療法を組み合わせて、その特徴を生かす集学的治療が行われます。自由診療(健康保険がきかない)ですが、免疫療法も一部の施設で行われ始めています。しかし、いまだ実験段階といってよいと思います。
  1. 手術療法
    早期のがんで内視鏡的粘膜切除術により切除できれば、ほぼ80%くらいが治癒します。しかし進行がんが多く、食道がんと決まったら、まず手術できるかどうかを検討し、手術可能と判定されたら手術という考え方が主流です。しかし、手術の意義があると判断される奨励は食道がんの半分程度でしょう。手術は胸、お腹、首と3箇所に切開が入り、手術は外科で一番大きい方です。手術に続いて発生する余病(合併症)は、肺炎、縫合不全(=つなぎめのほころびの意)などの心配もあります。しかし近年、人工呼吸器や中心静脈栄養法などの進歩により手術直接の死亡率は著しく減少しました。手術で取りきれれば、5年生存率はほぼ50%です。
  2. 放射線療法
    手術と同様に限られた範囲のみを治療できる局所療法です。機能や形態が温存されます。根治照射では手術を含む集学的治療のほかに、手術は行わず放射線治療と抗がん剤治療を同時に行う放射線化学療法が、手術に匹敵するくらいの効果があると主張する施設が最近、出てきています。施設により手術適応および放射線治療に対する考え方の違いもありますので、セカンドオピニオンも利用してよく相談されたらよいと思います。
  3. 化学療法
    抗がん剤は血液の流れに乗って手術では取りきれないところや他の臓器に転移しているところにも全身に行き渡ります。副作用として、おう気、おう吐、食欲不振などがほとんどの人に認められます。脱毛、腎障害、血液障害が起こることもあります。
このように食道がんは、がんの中でも難治性です。手術ができないほどの進行がんで、痛みや呼吸困難などの症状を緩和し、苦痛をとる緩和ケア病床(ホスピス)が普及しつつあります。ホスピスは死に場所ではなくて、生きる場所−心とからだのリハビリテーションの場、人生の最終章を満足で飾れるように援助する医療施設ととらえたいと思います。
平成17年1月28日
公明新聞に掲載