子宮動脈塞栓術のお知らせ
子宮動脈塞栓術の御案内
つくばセントラル病院では産婦人科と放射線科が協力して,2003年3月より子宮筋腫に対する子宮動脈塞栓術を行っています.
御希望される方は産婦人科外来を受診してください.

担当医 産婦人科 田中 奈美医師・長田 佳世医師
受付曜日・時間 月〜土曜日 午前7:00〜11:30

実際の治療は放射線科医が担当します.産婦人科での診察の後,放射線科医から治療に関する詳しい説明をさせていただきます.

担当医 放射線科 森 健作 医師

以下に子宮動脈塞栓術について簡単に解説しましたので御一読ください.
また,Emailによる相談も受け付けています(moriken@md.tsukuba.ac.jp).

子宮動脈塞栓術とは
太ももの付け根の動脈(大腿動脈)を刺し,細い管(カテーテル)を両側の子宮を栄養する動脈(子宮動脈)にまで進め,塞栓物質(本院ではゼラチンスポンジを使用)を注入して,筋腫の血流を止める治療法です.平たくいえば,筋腫に対する「兵糧攻め」です.
血流が止まることで酸素の供給が絶たれた筋腫は組織が死んで縮小していき,90%の症例で筋腫による症状の改善が見られます.正常な子宮は子宮動脈以外の動脈からの血流があり,一時的に血流が足りない状態になりますが,やがて回復します.ゼラチンスポンジは1ヶ月ほどで体内に吸収され消失します.

子宮動脈塞栓術の利点と欠点(手術療法との比較)
利点
  1. 開腹せず,体に付く傷が小さい(右脚の付け根に数mm程度).
  2. 開腹に伴う合併症がない(術後の癒着,腹壁瘢痕ヘルニアなど).
  3. 全身麻酔や腰椎麻酔が不要でこれらに伴う合併症がない.
  4. 筋腫の数や部位に関わらず,全てに対して一度に治療可能である.
  5. 過去に手術を受けていても施行可能である.
  6. ホルモン剤を使用しない.
  7. 貧血でも施行可能で輸血を必要としない.
  8. 入院期間が短い(本院では当日朝の入院で2〜3泊程度).
  9. 妊娠・出産の可能性が残る(本院では妊娠・出産を希望される場合,原則的に塞栓術は行いません).
欠点
  1. 技術的に両側の子宮動脈を塞栓できないことがある(数%).
  2. 技術的に成功しても症状の改善が得られない場合がある(約10%).
  3. 子宮内感染症,子宮の重篤な損傷などが生じる場合があり,子宮全摘を余儀なくされる場合がある(1〜2%以下).
  4. 永久的な無月経や卵巣機能低下を来たす場合がある(5%程度).
  5. ヨード造影剤を用いた血管造影を行うため,造影剤投与に伴う合併症(2〜3%程度に発疹・痒み・吐気など,非常にまれに血圧低下や呼吸困難など)と血管造影に伴う合併症(皮下・骨盤内の出血,肺塞栓症)が生じる場合がある(非常にまれ).
  6. 子宮を摘出しないので筋腫が良性である証明ができない.
  7. 保険適応となっておらず,自費診療である(35万円程度).
本院における子宮動脈塞栓術の適応)
本院では次の条件を満たす場合に子宮動脈塞栓術の適応としています.
  1. 子宮筋腫に伴う次のような症状があり,薬を飲んでも改善しない.
    ・生理の期間が長いあるいは出血量が多い.生理痛がひどい.
    ・貧血がある.
    ・下腹部にしこりがある,あるいは腰に圧迫感がある.
    ・トイレが近い.
  2. 妊娠していないし,今後も妊娠・出産を希望しない.
  3. 子宮癌検査が陰性である.
  4. 閉経していない.
  5. 外科的手術を希望しない.
本院における疼痛対策
子宮動脈塞栓術の直後〜12時間には非常に強い下腹部痛,腰痛が生じます.これに対して本院では治療前より,痛み止めの薬を内服していただくとともに持続的なモルヒネの皮下注入療法を行い,痛みのコントロールを行っています.モルヒネについては,痛みの強いときは患者様自身が一時間分の投与量を注入することが出来る注入器を使っています.

本院における合併症対策
子宮動脈塞栓術の合併症として重要なものは2つあります.1つは術後の感染症であり,もう1つは肺塞栓症です.これまでに全世界でそれぞれ1例ずつ死亡例があります.本院では感染症に関しては治療当日の朝から2日間抗生物質を点滴投与,以後5日間経口投与し,塞栓物質であるゼラチンスポンジにも抗生物質を混ぜ合わせて使用しています.また,肺塞栓症は術後の鼠径部の圧迫時間が長い場合に起きる合併症なので,本院では術後6時間で圧迫を解除するとともに脱水を避けるため当日2000ml,翌日1000mlの輸液を行っています.また,下肢静脈内の血栓形成を抑えるため弾性ストッキングを着用していただいております.

本院における自費診療対策
本院では治療の質を落とさずに患者様の経済的負担を軽減するため,次のような工夫をしており,費用を35万円程度に抑えています.
  1. 検査など保険診療の範囲内で済ませられるものは済ませる.
  2. 使用する薬剤は積極的にgeneric製剤(後発医薬品,内容や効能が同じであり,かつ安価な製剤)を使用し,必要十分な処方しかしない.
  3. カテーテルなどは質が高く,かつ安価なものを使用する.
  4. 治療当日朝の入院とし,入院期間の短縮を図る.
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