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 当科採用の単焦点眼内レンズとの比較(院内調査)
<背景>
2018年8月PMDAにより承認され、2019年4月保険適用で一般発売された低加入度数分節眼内レンズ、レンティスコンフォートR(LC、参天製薬)は、一部の医療機関から「従来の単焦点眼内レンズより中間〜近方視が良好で、日本のIOL市場を席巻する可能性がある」と宣伝され、多くの眼科施設で使用開始、当院でも同5月より導入した。そのため、臨床データの検証が必要となった。



現在、白内障手術で用いられている眼内レンズは焦点の性状により3種類に分類される。
まず、単焦点 眼内レンズは焦点面が 1ヶ所で、最も小さくなるためとてもシャープに見える。
ただし、焦点以外を鮮明に見るためには眼鏡が必要となる確率が高くなる。次に先進医療で用いられる多焦点眼内レンズは、遠近にピントを合わせるためのレンズが合成され、焦点面を複数に分散させるため眼鏡装用の機会が減る可能性はあるが、頭の中で焦点を選ぶ脳の順応が不可欠である。 このため、高齢者で特に瞳孔が小さい方や認知症の方には 不適応で、それ以外でも夜間運転など、瞳孔の大きさが不安定になるととても眩しく見えることがある。
これらの欠点を軽減するため最近、焦点深度拡張型のレンズ、 レンティスコンフォートが登場した。



焦点深度拡張型のレンティスコンフォートは、保険診療の中では単焦点眼内レンズの扱いであり、
高額な 多焦点眼内レンズと同様に遠方部と近方部の焦点面を 有している。しかしながら多焦点眼内レンズと異なり遠方部と近方部が中央で分かれているため瞳孔径に依存せず遠方と近方の中間位のエネルギーが幅広い焦点面として作られるのが特徴である。そのため、遠くも近くも見えて眼鏡装用の依存度が減るのではないかと期待されている。


<対象>


今回の検証におけるレンティスコンフォート挿入群は、添付文書に記載の白内障以外の顕著な眼疾患や全身疾患を有する方を除外し、若い頃から眼鏡なしで生活し術後にもなるべく眼鏡を使用しない生活を 望む方 6名12眼を選出。
対象群には、レンティスコンフォート挿入群と年齢、目標屈折値などがマッチングした従来の単焦点眼内レンズ(参天W-60R)挿入者11名17眼を選出した。


<方法>


検査項目は、術後3ヶ月の片眼及び 両眼の遠方5メートル、中間1メートル、近方50センチメートルの視力値及び加入度数、両眼開放近方視力、コントラスト視力、患者さんの満足度で、これらを比較検討した。
患者さんの満足度は、大変満足5、大変不満1とした5段階評価で口頭で回答していただいた。


<結果1>


視力は、一般的な少数視力では比較できないためlog-MAR視力にすべて変換している。
0が少数視力の1.0に相当し数が小さいほど視力は良好である。
緑色が単焦点眼内レンズ群で、レンティスコンフォート群はオレンジ色のグラフである。
片眼の裸眼視力は、遠方、近方で有意差がなく、中間では、単焦点眼内レンズ群の方が有意に良好だった。 片眼の矯正視力は、全て有意差はなかった。


<結果2>


遠方矯正下の、両眼開放視力も中間1メートル視力は単焦点眼内レンズ群の方が有意に良好で、 遠方5メートル、近方50センチで有意差はなかった。
また、近方の加入度数はレンティスコンフォート群の方が有意に加入度が少ないという結果だった。
中間視力だけ見ると、レンティスコンフォート群の方が見にくく、本来レンティスコンフォートが 目標としている 近方でも単焦点眼内レンズ群と有意差は出なかった。


<結果3>


コントラスト視力は、単焦点眼内レンズ群の方が良好で、患者さん 満足度も単焦点眼内レンズ群の方が有意に上回る結果となった。


<まとめ>


以上の結果をまとめると、術後の中間視力、コントラスト視力は従来の単焦点眼内レンズの方が 良好で、患者さんの満足度も優れている結果となった。


<結論と考察>


今回、他施設と異なりレンティスコンフォートの優位性は示されなかった。
その一因として、当院の白内障手術対象者の平均年齢が75歳以上であり、既報の他施設データ(Pursuit of Comfort vol.5参天製薬等)の 平均年齢より高齢化が顕著であったため、新たな眼内レンズの特性が充分生かされない可能性が 考えられた。




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